新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2023 改訂版
I. 資本主義のバージョンアップに向けて
足元の高い賃金上昇を持続的なものとするべく、コストの適切な転嫁を通じたマークアップ率の確保を図り、三位一体の労働市場改革を実行することを通じた構造的賃上げを実現することで、賃金と物価の好循環へとつなげる 人への投資、レジリエンス上の我が国の優位性を活かした国内企業立地促進、GX の実現に向けた投資等、市場や競争に任せるだけでは過少投資となりやすい分野について、官が的を絞った公的支出を行い、これを呼び水として民間投資を拡大させる 1980 年代から 2000 年代にかけて、市場や競争に任せればうまくいくという新自由主義の考え方が台頭 特定国・地域に依存するサプライチェーンでは、国民の健康や国家の経済安全保障が確保できないことが明らかになる等、各国において危機管理リスクが増大 「市場も国家も」による課題解決と新たな市場・成長、国民の持続的な幸福実現
その後、冷戦構造の中で、競争力を失いつつあった経済を立て直すため、新自由主義の考え方が台頭 今回は、資本主義の歴史上、3 回目の大きな転換の契機 資本主義を超える制度は資本主義でしかあり得ない → 主役はあくまでも民であり、市場 これまでの転換は、「市場か国か」、「官か民か」 の間で振り子の如く大きく揺れ動いてきた
新しい資本主義においては、市場だけでは解決できない、いわゆる外部性の大きい社会的課題について新たな官民連携 (「市場も国家も」) によって、その解決を目指す 官民連携による社会的課題の解決とそれに伴う新たな市場創造・成長の果実は、多くの国民・地域・分野に広く還元され、成長と分配の好循環を実現していく必要
気候変動、少子高齢化等の社会的課題への取組を通じて、国民の暮らしにつながる、誰一人取り残さない、持続可能な経済社会システムを再構築し、国際社会を主導する必要
新しい資本主義を貫く基本的な思想
1. 「市場も国家も」、「官も民も」 によって課題を解決する
2. 課題解決を通じて新たな市場を創る、すなわち社会的課題解決と経済成長の二兎を実現する
3. 国民の暮らしを改善し、課題解決を通じて一人ひとりの国民の持続的な幸福を実現する
特に、資本主義の持続可能性と強靱性を高め、全ての人が成長の恩恵を受けられるようにするためには、人への投資・スタートアップ育成・先端技術開発といった、市場だけでは進みにくい分野に対して、重点的に官民が連携し、大規模に実行を進める必要 その際、子育て支援の充実、少子高齢化を迎えて国民が能力に応じて支え合う社会保障の実現、いつでも、どこでも、だれでもが希望する働き方で働ける働き方の改革が求められるとともに、権力、資力、資源等が集中しない、分権型の経済社会の追求も重要 II. 新しい資本主義を実現する上での考え方
III. 人への投資・構造的賃上げと「三位一体の労働市場改革の指針」
IV. GX・DX 等への投資
1. レジリエンス上の日本の優位性と国内企業立地促進・高度外国人材の呼び込み GX や DX 等の中長期的成長が見込まれる戦略分野 戦略分野への対応
AI、特に生成 AI の利用が世界的に急増する中、AI に適したサーバーを増強することが重要 横断的環境整備
6. 官民連携による科学技術・イノベーションの推進 など
7. クリエイターへの支援
V. 企業の参入・退出の円滑化とスタートアップ育成 5 か年計画の推進
VI. 社会的課題を解決する経済社会システムの構築
VII. 資産所得倍増プランと分厚い中間層の形成
VIII. 経済社会の多極化